リド島は、かつてのようにハリウッドの若手女優やヨーロッパの貴族たちの華やかな隠れ家ではないが、手入れの行き届いたビーチ、点在するアールヌーボー様式の建物、キャンディストライプのオーニングの下でプロセッコをすする夏のベネチア人たちは、暑い日に楽しい気分転換になる。しかし、ベネチア中心部の時代遅れの雰囲気からすると、車や郊外の無秩序な広がりは不快であり、冬には薄れゆく魅力さえも不足する。
リド島は19世紀後半に流行の海辺のリゾート地となり、その最も輝かしい時代はトーマス・マンの小説に(確かに憂鬱な形で)描かれている。ベニスに死す。