デカブリスト伯セルゲイ・ヴォルコンスキーのアヒルの卵のような青と白の家。その妻マリア・ヴォルコンスカヤはクリスティン・サザーランドの読み終えたら止まらない本の中で主人公を演じている。シベリアの王女、馬小屋、納屋、使用人部屋のある荒れた中庭に建つ小さな邸宅。1980 年代後半に改装され、現在はイルクーツクでの家族の亡命生活の物語を伝える博物館となっている。
1856年にヴォルコンスキー家がサンクトペテルブルクに戻るまでの10年間、この家はイルクーツクの文化生活の中心地であり、舞踏会、音楽の夜会、裕福な商人や地元の高官が出席するパーティーなどが開かれていた。大きな陶器のストーブとオリジナルの階段があるこの建物のツアーでは、ムラヴィヨフ=アムールスキー知事がかつて裏庭でヴォルコンスキー自身が育てた果物や野菜を堪能した家族のダイニングルームから、マリアや、夫や愛人を追ってロマンチックに亡命した他の女性たちの肖像画を含む2階の写真展示まで見学できる。
展示されている感情に訴える品々には、マリアのピラミッド型ピアノ、デカブリスト仲間の妻エカテリーナ・トルベツカヤがデカブリストたちが投獄された様々な場所から収集した写真集(閲覧可能)、そしてマリアの義理の妹がイタリアから送ったオルゴールなどがある。